274話 もうすぐ出航

第276章

 三人は自分たちの席に座り窓の外の景色を見ていた。

「もうすぐ出航だ。海の上から海軍士官学校の校舎がよく見えるよ。士官学校の一番いいシーンがね。地上からだと校舎が近くて全体像を見ることができない。しかし海の上から離れた場所から見ると校舎をすべて見ることができるから、実にいいシーンになるよ」

「あなたまるで映画監督みたいだね、アラン」

「いいですね、ここの海軍士官学校を舞台にした映画、見てみたいです」

「もしここで映画やドラマのロケをするとしたらやはりこの海の上からの撮影が重要だろうね。海軍はもちろん海が舞台だし、あそこの士官学校も海に向かって一番いい演出をしているからね」

「この場所は一般の人は立ち入り禁止の場所だから映画やドラマのロケ地として確かに最高だね、アラン」

「この場所は普段は一般の人たちは見ることができない場所ですからね、ドロンさん」

「それにしてもあの士官学校の校舎、本当に最高級のマンションみたいだ。あそこで生徒たちは寝泊まりできるからね」

「私たちが受けたEOPAN・FRの生徒の宿舎、士官学校の校舎よりもう少し北側にあったけれどそこもこの士官学校の校舎に負けずによかったよ、アラン」

「そうでしたね、やはり目の前が海で実によかったです。ドロンさん」

「そうそう確かによかったね。また宿泊してみたいよ」

「あなたならまた宿泊できるんじゃないの、アラン」

「そうですよ、ドロンさんならできますよ」

「もし合格したらという前提での話だけれど、合格出来たら僕たちもあそこの士官学校の校舎で3か月間士官訓練を受けることになるようだね(Formation initiale d'officier 3 mois École Navale)」

「しかしそれまでには長い長い時間がかかるけれどね、アラン」

「そうですね、それまで体がもちますかわかりません。ドロンさん」

「合格出来たらの話だからね」

「そうそうそういう話だね、アラン」

「そういう話ですね、ドロンさん」   つづく

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る