271話 ブレストの船会社

第273章

 藤枝たちは桟橋の近くにやってきた。

「この桟橋にもうすぐ船がやってくるんだな。ブレストの港からね。一時間か二時間に一本くらいの船便があったと思うよ」

「なんでそんなに詳しく知ってるの、アラン」

「そうです。どうしてそこまで詳しく知っているのですか、ドロンさん」

「以前、ここのブレストの海を運航している船会社のホームページを見たからだよ。何だったかなあ、会社の名前……」

「そこの船会社にも興味があるの?アラン」

「そうですね、興味がありそうですね、ドロンさん」

「あ、そうそう思い出した。モーレン、モーレンだった。モーレンエクスプレス社だった(MORLENN EXPRESS) 『ブレスト波止場でのあなたの専門輸送船』(Votre Transport professionnel en rade de Brest)の船会社だった」

 こう言うと、アランドロンはスマホをとり出してさっそく調べ始めた。

「何調べるの、アラン」

「そうです、何を調べているのですか、ドロンさん」

「わかった。ここの海軍士官学校前からブレストの波止場まで(Lanvéoc-Brest)、一日7便ぐらいの船があるようだ。月曜日から金曜日までは8時30分発、9時35分発、11時35分発、12時50分発、17時00分発、18時15分発。それ以外に15時52分発もあるけれど、しかしこの15時52分発は金曜日だけみたいだ。そして16時50分発、これは月曜日から木曜日までみたいだ。しかし土曜日、日曜日、祝日は8時55分発の一日一本だけみたいだ」

「船の時刻表を調べていたのね、アラン」

「船がここを出発する時間でしたか、ドロンさん」

「そうだよ。これでよくわかっただろう」

「そう、じゃあもうすぐ船ここに来るね、アラン」

「そうですね、もうすぐに来ますね、ドロンさん」

「この船に乗れるかと思うとうれしくなるね」

「ヘリコプターではなかったの、アラン」

「そうですよ、ヘリコプターに乗りたかったのではありませんか、ドロンさん」

「ヘリコプターはヘリコプター。船は船だよ」   つづく

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