268話 これから港へ
第270章
二人は部屋を出て建物の外に出た。そこにはほかの受験生たちがすでに集まっていた。みんなここの海軍基地に来た時と同じ格好でいた。同じ服を着て同じかばんを持っていた。その中にはアランドロンもいた。彼は二人に向かって話しかけた。
「君たち二人、試験はどうだったね」
「さあね、アラン」
「まったくわかりません、ドロンさん」
「君たち二人とも、自信ありそうな顔しているよ」
「アランはさぞかし合格の自信があるようね」
「ドロンさんなら合格間違いないですね」
「そんなことわかるわけないじゃないか。でもやれるだけのことはやったけれどね。もしこれで不合格でも後悔はしないよ。もしだめだったらまた受験するかもしれないよ」
「アランはヘリコプターパイロットが目標だからね」
「ドロンさんはヘリコプターパイロットに最適だと思います」
「そうだよ、やはりヘリコプターが一番だよ。あの空の上を自由自在に飛ぶことができるヘリコプターやはりこれが最高だ。飛行機は早いけれど細かく自由に動くことができない。それに比べてヘリコプターは空の上を実に細かく動き回れる。これがいいのだ」
「確かにね、空の上にじっと停止することもできるしね、ほんとすごいね、アラン」
「ほんとうにすごいですね、飛行機では空にじっと停止してはいられませんね。ドロンさん」
「だけど空にじっとしていることが何がそんなにいいの、アラン」
「地上の景色をじっくりと眺めることができるではないか。エッフェル塔や東京タワーに上りたがるのはやはり高いところからの地上の景色をじっくりと見たいからではないか。こういうことができるのがヘリコプターではないか」
「本当だ、すごいね、アラン」
「やはりすごいですね、ドロンさん」
「ほんとうだよ。こういうすごい乗り物、ほかにはないね。だから絶対にヘリコプターパイロットになりたいのだよ」
そこへ先輩上級生がやってきた。
「これから君たちがブレストの駅まで乗る船が停泊している港まで行きます。あとについてきてください」 つづく
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