263話 英語口述対策終了

第265章

「これで日本語での英語の口述対策を終わります。今まで藤枝さんがこたえてきたことをすべて英語に訳して提出してください。それをこちらで正しい英語に添削します。それで今度はその正しく添削した英文をもとにして、英語で質疑応答の練習をします。いいですね」

「全部英語に訳してくるのですか」

「そうです。どうしてかといいますと、もちろん今まで藤枝さんが質問にこたえたことすべて実際の場でこたえるということなどできません。ですから前もって用意しておいたこたえの英文をできるだけたくさん覚えていたほうがいいのです。そうすれば実際の場でいくつかは話すことができるからです」

「はい、わかりました」

 藤枝は教室を出ていった。教室を出ると目の前に階段があった。広めの階段だった。階段を下りていくと踊り場についた。そこで急に見たことがある光景が目に飛び込んできた。そこの壁にはポスターが貼ってあった。フランスのブレスト駅前から見た海の景色のポスターであった。藤枝は思わずそのポスターの前で立ち止まってしまった。そしてしばらくそのポスターを眺めていた。EOPAN・FRの試験を受けるためフランスの新幹線TGVで、ブレストの駅に来た時のことを思い出していた。ブレストの駅からは南側に海が広がっていた。その風景だった。ブレストの駅からは試験会場のランベオック海軍基地まで車であった。先輩上級生が車で迎えに来ていたのであった。試験が終わった後は、今度は船でブレストの駅まで送ってくれるのだそうだ。このポスターから見える海は南側に広がっている。しかし今度船で行くときは、北側に広がっている海を見ることになる。同じ海でも北から南を見るのと、南から北を見るのとでは全く違う印象だろう。それを思うと今度はこの海がどのように見えるのかとても楽しみである。おそらくブレストの駅の建物が北側に見えるのであろう。大きな海を下側にしてその上にブレストの駅舎が立っている光景であろう。このように頭の中で確かにイメージはできる。しかしやはり実際に見ることができる光景は素晴らしいものだと思われる。   つづく

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