264話 水のある風景

第266章

 藤枝は建物の外に出た。正面玄関を出て左側に曲がり歩いて行った。するとすぐ川がある。道の前に川があるためそこで道は川に沿って左と右に分かれていた。藤枝は左の道を歩いて行った。ここに来たときは急いでいたため川を楽しむことができなかった。しかし帰りは時間があるためゆっくりと川のそばの散歩を楽しむことができた。川を右側に見ながら歩いて行った。この道は坂になっていた。かなり勾配が急な坂であった。そのためこの道を歩いて降りていくにしたがって、次第に川が近づいてきた。最初は川はかなり道から下側に見えていた。その川が次第に右側すぐそばに見えてきたのである。川というもの、川でなくても、池だとか、湖、さらに海、このような水のある風景というものは、なぜか気持ちを和やかにしてくれるものである。水というものは人間とってとても大切なものである。水がないと生きていくことができないくらい大切なものである。そのため水を見るとホットした気持ちになれるからであろうか。水がそばにあるだけで安心できるからであろうか。生きていくために必要なものがそばにあるからである。もしなければ不安になるからであろうか。それに人間だけではなくそもそもこの地球上の生き物は海の中で生まれたそうだからであろうか。だから川、池、湖、そして海。このような水のある風景を見るとまるでふるさとの風景を見ているみたいな気持ちになるからであろうか。

 藤枝はこのようなことを考えながら右側に川を見ながら坂道をおりていった。坂道の勾配がなくなったところで、川とほぼ水平になったところでその道は十字路になっていた。右側に曲がっている道は川の上を橋で向こう側に伸びていた。藤枝はその橋を渡ろうかと思いながら、左側の道に入り歩いて行った。その道をまっすぐ歩いていくと鉄道の駅があった。藤枝はその駅に入り電車が来るのを待っていた。プラットホームにある待合室の中の椅子に座って待っていた。しかしいつのまにか寝てしまった。   つづく

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