244話 最後の夜
第246章
夕食が終わり二人は宿舎に戻ってきた。部屋の中に入ると二人はすぐに自分のベッドの上に座った。藤枝はベッドの足元のほうにあるロッカーを見て言った。
「では明日の帰る準備しましょうか」
藤枝はベッドから立ち上がりロッカーに行きその中から自分のカバンを取り出した。そしてそれをベッドの上にもってきてカバンをあけて中身のかたずけを始めた。ジャンヌもベッドから立ち上がりロッカーに行き、自分のカバンを取り出してベッドまで持ってきた。
「準備といってもこのカバンを持っていくだけだけどね」
ジャンヌも自分のカバンの中身のかたずけを始めた。
「観光旅行に来たのであればお土産なんか一杯カバンに詰めてですけれど、お土産など何もありませんからね」
この時先輩上級生が二人の部屋の中に入ってきた。
「明日ですが、船でブレストの駅まで送ります。ですから呼びにくるまでこの部屋で待っていてください」
こういうと先輩上級生は部屋を出ていった。
「さすが海軍ですね。明日はブレストの駅まで船で送ってくれるとは。そこの海を横切っていくわけですね。最後のここでの日は船旅ですね。本当にここに観光旅行に来たみたいです」
「カバンの中にはお土産はないけれど、頭の中にはいっぱいあるよ」
「ここでの思い出ですね。このここでの思い出、これが何よりのお土産です。それにしても三日間だけでしたがいろんなことがありました」
「こういう思い出はそう簡単にはできないから、多分一生の思い出になるよ」
「ジャンヌさんの場合は、合格してこれから毎日ここで過ごすことになるではありませんか。あたしの場合ですよ、一生の思い出になるのは。もうここに来ることはたぶんないでしょうから」
この時、部屋の明かりが突然消えた。
「ああ、消灯時間ですね。早く寝ないと」
藤枝はカバンを枕元のベッドの下に置きベッドにもぐりこんだ。ジャンヌも同じようにしてベッドにもぐりこんだ。
「ではおやすみなさい、ジャンヌさん」
「おやすみ、ユキコ」 つづく
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