241話 建物玄関前で
第243章
藤枝がEIPの建物の玄関の外に出るとそこにはジャンヌがいた。
「どうだった、ユキコ」
「宿舎には戻らなかったのですか」
「一人でいてもね、それよりどうだったの面接」
「一応できる限りのことはしたと思います。ですからこれでもしダメだったとしても後悔はしません。運がなかったとあきらめるだけです」
「そうだね、それしかないね」
「ジャンヌさんはどうでしたか」
「あたしもできることはすべてやったから、後悔はしないと思う」
「あとは運が決めることですね」
「そういうこと、では宿舎に帰るか」
「その前にここのEIPの建物、もう少しよく見ていきませんか」
「合格出来たら毎日見られるよ」
「それはジャンヌさんの場合です。ジャンヌさんは合格できる自信があるからでしょうが、あたしはそうではありませんから」
二人はEIPの玄関から道一つ隔てたところにあるフランス国旗が掲げられている旗ざおがたっているところに行った。そから見ると二人の目の前にはEIPの建物が横長に広がっていた。
「屋根がみごとに傾斜して行きますね。向かって右側から左側に行くにしたがって。左側に行くにしたがって屋根が下側に下がっていきますね」
「右側はずっと2階だけど、左側に行くにしたがって1階になっていくね」
「この建物のこういうデザインは飛行機が滑走路を離陸したり着陸したりする光景をイメージしているのでしょうかね」
「そうかもね。この建物に向かって左側から飛行機が離陸していく。向かって右側から飛行機が着陸してくる。こういうイメージということかもね」
二人は今度は旗ざおの足元のそばに置かれている記念用の小型プロペラ機を見ながら話を始めた。
「このプロペラ機、昔ここで使用されていた練習機だね」
「たぶんそうですね。今の練習機ってどういうのでしょうかね。CAP10型機だそうですが、このプロペラ機のような飛行機なんでしょうかね」
「CAP10型機はこのプロペラ機よりも大きいみたいだね」
この時、建物の玄関から先輩上級生が出てきた。
「君たち、宿舎に戻ってください」
二人は仕方なく宿舎に向かった。 つづく
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