239話 面接35
第241章
「これで面接試験での質問事項はすべて終わりです。しかし受験生が女性の場合(si vous êtes une femme)はさらに次の二つの質問もさせてもらいます」
今夜の夕食のことを考えていた藤枝はびっくりしてしまった。ここで少し心配になってしまった。夢の中で機長から教えてもらえなかった質問だからだ。果たしてこの場でうまくこたえられるであろうか。今までの質問はすでに機長から教えてもらっていた質問であるためすらすらこたえることができたのであった。
「海軍は男社会です。女性のあなたがやっていけると思いますか(C'est un milieux d’homme, vous pensez que vous allez réussir?)」
「えーと……そうですねえ……やっていけると思いますが……」
「今までの答え方とずいぶん違いますね」
「はい?」
「今までは何を質問してもすぐにはっきりとしかも長々とこたえていたではありませんか」
「そうでしたか」
「そうです。急にどうしたのですか」
「別に何でもありません」
「あなたは海軍で女性がうまくやっていくことは出来ないと思っているのですか」
「いえ、そんなことは思っていません」
この時だった。藤枝は面接官の軍服につけられているパイロットバッジを見た。丸い形をしていてマカロンそっくりのバッジであった。藤枝は急に元気になった。
「女性は海軍でもちろんうまくやっていけます。マカロンが作れるからです。マカロンをおいしく作るためにはマカロナージュをうまくすることです。このマカロナージュをうまくできるのは女性だからです。このマカロナージュがうまくできるのは男性よりも女性だからです。ですから海軍の仕事は男性よりも女性のほうがうまくやっていけると思います。女性は海軍ではうまくやっていけないという考えは先入観でしかありません。このような昔から続く先入観はマカロンの前では無力です。これからはマカロンの時代です。つまり女性が活躍する時代です。ですからこの質問に対するこたえは、私はやっていけます」 つづく
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