第２３３章

「この世の出来事はあなたにとってたやすいですか(Vous arrive-t-il de faire des choses de façon non rigoureuse?)」

「もちろん大変で厳しいです。マカロンが上手に作ることができないからです。怠けているわけではありません。毎日毎日努力しています。それなのにうまく作ることができません。お菓子作りの雑誌に掲載されているマカロンの写真を見ると、どうしてこのように上手に作ることが出るのだろうかといつも感心してしまいます。もちろん雑誌に掲載されるくらいなため最高に作るのが上手な人によるものだと思われます。普通の人が作ったマカロンではないと思います。しかしそれにしても本当に感心してしまいます。何かマカロンを上手に作るためのコツでもあるのでしょうか。私のように毎日毎日の努力だけでは無理ではないでしょうか。やはり生まれながらの特別な才能によるものなのでしょうか。センスというものなのでしょうか。このセンスというものがないと、上手に作ることができないのでしょうか。このようなセンスに恵まれている人、こういう人にとってはこの世の中のことはたやすいのかもしれません。と、私は今まで思っていました。しかしある人から話を聞きまして、必ずしもそうではないのかもしれないと思うようになりました。一見はたから見ると世の中をたやすく生きているように見える人でも、本人はかなりしんどく思っているのかもしれないとです。つまり人間は現状維持では満足できなくて常により良い方向に行きたがるのであるからだということです。ですから平均よりかなり高い位置にいてももっと上を目指したいため常に不満を持ちながら生きているのかもしれないとのことです。常に不満を持って生きていれば当然、この世の中のことはたやすいなどとは思えないはずだと思います。そこでこの質問に対するこたえはこの世の出来事は決してたやすいことではない、とこたえる人が多いのではないかと思います。そして私のこたえも同じです。　　　つづく　　　