214話 面接10
第216章
「あなたはその危険を受け入れる用意はできていますか(Êtes-vous prêt à les accpeter?)」
「はい、用意ができています。ですからこの試験を受けたのです。そうでなければ受けることができません。危険というのはまだ現実のことではありません。未来のことです。ですからただの可能性の問題にすぎません。私たちの日々の生活には誰でも危険はつきものです。それにこれは未来のことですからだれにも予測ができません。ですから私たちはこの誰にも予測がつかない未来の可能性の危険を持ち合わせながら毎日の生活をしているわけです。そのためこういう危険というものを受け入れる用意をしながら私たちは毎日の生活をしているのだと思います。危険を受け入れる用意をしないで毎日の生活をしていくことはできないと思います。そのいい例に保険を上げることができます。私たちはみんな必ず保険というものに加入しています。これは未来の可能性である危険を受け入れている用意をしている証拠です。もしそうでなければ毎月毎月保険の掛け金を払うということなどありえません」
「確かにあなたが言ったように、私たちの毎日の普通の生活でも危険はつきものです。そのために保険にも入っているわけです。しかし確率の問題があります。普段の生活での危険に会う確率と軍務での危険に会うのとではまったく確率の大きさが違います。あなたはそのことまで考えているのですか」
「はい、もちろん考えております。しかし確率が大きいからといっても必ず起きるということではありません。逆に確率が小さいからといっても絶対に起きないというわけでもありません。起きるときは起きるのです。起きないときは起きないのです。そのようなことまでいちいち考えていては仕事になりません。『あなたはその危険を受け入れる用意はできていますか』という質問に対して私が言えることは、用意ができています、ということだけです」 つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます