202話 最終面接試験会場

 第204章

 藤枝たち受験生が初期パイロット養成(EIP 50S)の建物の中に入ると、面接試験室に連れて行かれた。そしてその面接試験室の前にあるロービーで待つように指示された。心理学者による面接試験が行わられた部屋とは違う部屋であった。部屋の前に並び置かれていた椅子に受験生たちは座り自分の番を待っていた。

 しばらくすると面接試験の部屋の水色のドアが開き、そこから試験官が出てきた。

「ジャンヌ」

「はい」

 試験官から名前を呼ばれるとジャンヌは椅子から立ち上がった。

「では中に入ってください」

 ジャンヌは部屋の中に入っていった。ジャンヌが部屋の中に入ると呼びに来た試験官も部屋の中に入りドアが閉められた。

 ドアが開けられたとき藤枝は部屋の中がどのようになっているのか集中してよく見たが、あかりがつけられていることがわかったくらいであまり詳しいことはわからなかった。もっともこれからすぐわかることである。しかしどんな些細なことでも前もって知りたがった。少しでも試験に有利にしたいからである。

 試験会場がどのようになっているのか、このようなことでも前もって知っておくことはとても大切である。自分の部屋で試験を受けるような雰囲気にしたいのである。プロ野球の場合、自分の球場で試合をする場合とよその球場で試合をする場合を比較してみるとやはり自分の球場で試合をするほうが、勝率が高いそうである。実力を最大限に発揮するためにはなるべく身を置く環境に慣れているほうがいいようである。心理的なことなのかもしれない。よく知っているなれた場所にいると、リラックスした気持ちになれるからであろう。そのため余計なことに気を使わなくてよくなるからであろう。そのためこれから立ち向かうことに全力で集中できるからに違いない。藤枝はこのようなことを考えながら自分の順番が来るのを待っていた。      

 一時間近く時間が経過した。すると水色のドアが開いた。そこからジャンヌが出てきた。彼女はそのまま部屋の前のロビーを横切り立ち去っていった。ジャンヌが出てきたドアから今度は試験官が出てきた。

「藤枝有紀子」

「はい」

 彼女は椅子から立ち上がった。

「中に入ってください」

「はい」   つづく

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