200話 Véronique Jannotの曲Aviateur

 第202章

 藤枝は機長と書店のある建物の前で別れまっすぐに家に帰った。

「ただいま」

「おかえりなさい」

 藤枝が自宅につくと母親が出迎えた。

「これからまたマカロン作るんでしょう」

「そう。何としてもマカロナージュがうまくできるようにしなくてはいけないから」

「マカロンもいいけど、たまには和菓子でも作ってみたら」

「和菓子か、そうそうたまにはいいかもね」

「材料は買ってあるから、それで作りなさい」

 藤枝はそこでさっそく母親から材料をもらい、それを台所に持って行って和菓子を作った。和菓子ができるとそれを持って自分の部屋に行った。そしてそれを食べながらパソコンでユーチューブ動画を見始めた。ヴェロニクジャノ(Véronique Jannot)の『飛行士』(Aviateur)の曲であった。シャンソン教室で歌い方を習ってきた曲であった。

 それにしてもこの曲はEOPAN・FRにふさわしい曲である。EOPAN・FRのテーマソングのような曲である。フランス軍のジェット戦闘機がたくさん登場して来る。そしてそれらの飛行機が空中で曲芸飛行をするのである。

 軍歌というものがある。軍には音楽がつきものである。軍楽隊という部隊まであるくらいである。はたして、このヴェロニクジャノの『飛行士』という曲はフランス軍の軍歌の中に取り入れられているのであろうか?もし取り入れられていたとしても全く不思議ではない。それほど相性のいい曲であると思う。たとえ公式には取り入れられてはいなくても、非公式にはもしかしたら取り入れられているのかもしれない。第二軍歌とでもいうように。

 公式よりも非公式のほうがなんとなくしっくりいくような気がする。つまり非公式のほうが本当の気持ちを象徴しているように思えるからだ。ヴェロニクジャノの『飛行士』という曲は軍の公式の場では演奏できないのかもしれない。しかし非公式の場所ではおそらく大人気に違いない。

 藤枝はこのようなことを考えながらいつのまにか寝てしまった。   つづく


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