197話 面接で聞かれること 20
第199章
機長はここで和菓子を一口食べ、ジュースを飲んだ。
「ずいぶんわき道にそれてしまったな」
「いえ、これはこれでとてもおもしろい話でした」
「本当にそうだとありがたいけれどね」
「はい、もちろんそうです。政治だとか宗教だとか、こういう言葉は普段でもよく使っていますが、なんだかとてもあいまいな言葉で、はっきりと具体的な意味がよくわかりませんでした。しかし機長の今の話でイメージが見えてきました」
「それはよかった。ではこれからさっそく本題。今まで長々と政治や宗教の話をしてきたけれど、これから面接で質問されるのは政治に関係するからだよ」
「わかりました。ではお願いします」
「面接の場はもちろん社交の場ではない。しかし共通点がある。人間関係をつくるという点ではね」
「面接はこれから人間関係をつくろうとする人を選ぶために行わられるものですからね」
「そうだね。面接は、これから自分たちの組織の中に受験生を迎え入れることができるかどうかを判断するためだからね。組織の中に迎え入れるということは組織の中で人間関係をつくることだからね」
「組織にはたくさんの人がいます。だからこれらの人たちとうまくやっていくことが大切だからですね」
「そうだね。だからうまくやっていくためにはできるだけ考えが同じであるほうがいいわけだ。組織というものは考えを統一しなくてはいけないからね。たくさんの人から成り立っている大きな組織、これがまるで一人の人間のように動かすことがとても大切なのだ。組織を構成している我々がみんな考え方が異なれば、組織が動けなくなってしまう。もちろん命令は絶対服従で従わないわけにはいかない。しかしやはり意に反して仕方なく従うよりも自分の考えに合うから自発的に従う、こういう人物のほうがいいに決まっている。そこで受験生に政治的な質問をして海軍の考えに合う人かどうかを確かめているのかもしれない。これはもちろん私の勝手な想像だけれどね」 つづく
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