196話 面接で聞かれること 19

第198章

 機長はここで一息つきまた続けた。

「宗教もこのように政治と同じ問題があるわけだよ。政治はその人の外の問題と関係があった。つまりその人の行動、簡単に言えばどのようにしてこの世界で得をしようかということ。それに対して宗教とは、その人の心の問題に関係がある。どのようにして心の中を安心にできるかということ。我々は生きていくうえで悩みごと心配ごとを持って生きていかなくてはいけない。そのため心の中にやすらぎがほしくなるわけだよ。そしてこのやすらぎを得る方法が宗教なのだよ」

「宗教ってどのようにしてできたのでしょうか」

「悩みごとや心配ごとが起きた場合、私たちはどうするであろうか。おそらく自分より強い人、物、自然現象に助けを求めるであろう。自分より強いため頼りになるからね。自分より強い人、そこで神様や仏様が生み出された。自分より強い物、巨石、大木、大きな山、海、大きな湖など。自分より強い自然現象、台風、かみなり、流れ星。こういう自分より強いものに助けてくださいとお願いするわけ。こういう自分より強いものだから、自分の悩みや心配ごとを解決してくれるに違いないと思えるからだよ。こうして宗教というものが生まれたわけだよ」

「たくさんの宗教がありますが、基本的な考えは同じということですね」

「そうだね。現在この世にはたくさんの宗教がある。しかし基本はすべて同じだよ。にもかかわらず、それぞれの宗教の形はすべて違う。これが問題だ。私たちは実質よりも形式的なことに惑わされやすいからだよ。困ったときに助けを求める相手が自分と違うと、それだけで相手の人のことが理解できなくなってしまう。だから当然いい関係を作ることができなくなってしまう。そこで社交の場のように良い関係を作る場所では宗教の話じはしないほうがいいというわけだよ」

「社交とはお互い知らない者同士が関係をうまくするためのもの。だから対立しやすい政治や宗教の話は避けたほうがいいということですね」

「そういうことだね」   つづく

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