194話 面接で聞かれること 17

第196章

「お待たせしました」

 機長と藤枝のテーブルに和菓子が置かれた。

「本当に見ているだけで楽しくなるね。和菓子は」

「そうですね。なんだか食べるのがもったいないくらいです」

「君たち日本人はいいねこういうもの毎日食べることができて」

「そうですか。和菓子もいいですが、私はマカロンを毎日食べたいです」

「自分の国にはない、よその国にあるものがよく見える。こういう心理かもしれないね」

「身近にあるものはあまりにも当たり前すぎて関心が少なくなってしまうのかもしれません。しかし身近にないものは逆にとても関心が持ててほしくなるということかもしれません」

「そうそう」

 機長はここで和菓子を一口食べた。

「うーん、これこれこの味だ。本当にうまい。さあ君も食べなさい」

「はい。ではいただきます」

 藤枝も一口食べた。

「うん。やはりおいしいです。和菓子を食べるのは久しぶりなのでとてもおいしく感じます。いつもマカロンばかり食べているので」

「ではさっそくまた始めようか。あと質問されることは二つだから」

「はい。よろしくお願いします」

「次の質問は少し言葉の意味を正しく理解しているかどうかの質問のようだよ。『forceという力とpuissanceという力の違いは何ですか』(C'est quoi la différence entre une projection de force et une projection de puissance?)」

「なんだか難しい質問ですね」

「普段から言葉の持つ意味を正しく理解していくことが必要みたいだね。一言で簡単に言うとforceという力は物理的な力、puissanceという力は観念的な力だね」

「では海軍のforceという力とは海軍の戦闘能力ということですね。そして海軍のpuissanceという力というと、海軍の持つ権威の力、という感じになるわけですね」

「そうなると思うね。どちらも力ということでは同じであるがだいぶ感じが違ってくるね」   つづく

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