192話 面接で聞かれること 15

第194章

 ここで機長はジュースを一口飲んだ。そして続けた。

「今度の質問は集団生活をうまくやっていけるかどうかの質問かもしれない。海軍だけではなくそれ以外の職場もそうだと思うけれど、たくさんの人たちがみんな一緒になって協力し合っているわけだ。しかし我々はみんな個性というものを持っている。そしてこの個性というものは人によってみんな違うわけだ。だから対立することだってよくあることだ。考え方が全く正反対になってしまうこともとてもたくさんある。しかしそれでもたくさんの人たちと一緒にうまく生活していかなくてはいけない。そこで次のような質問がされるのかもしれないね」

「どういう質問ですか」

「『あなたは、集団生活をした経験がありますか』(Vous avez des experiences de vie en communauté?)」

「海軍での生活はまさに集団生活そのものですね」

「そうだね、だからこういう集団生活をした経験があり周りの人たちと対立しないで、うまく生活をしたことがある経験はとても大切だと思う」

「そう思います」

「私はいまこの質問を狭い意味で日本語で表現した。(en communauté)という言葉を具体的なイメージが見える意味で日本語で表現した。『集団生活』という言葉でね。しかしこの(en communauté)という言葉をもっと広い意味で考えてもいいと思う。たとえば『地域社会』というような日本語でね。この意味でこの質問を考えると『あなたは、地域社会での活動経験がありますか』という日本語表現になると思う」

「そういう質問では、さっきの質問とはイメージが変わってきますね」

「そうだね。広い意味でこの質問を考えると、自分が住んでいる町で町の人たちと一緒に町のために何か活動をしたことがあるのか、ということになると思う」

「狭い意味でこの質問をとらえるのか、広い意味でこの質問をとらえるのか。しかしどっちでとらえても基本は同じだと思います。自分の周りにいるたくさんのひとたちとうまくやっていけるかどうか、ということだと思います」

「そうだね」   つづく


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