190話 面接で聞かれること 13
第192章
ここで機長はジュースを一口飲んだ。そしてまた続けた。
「これからは受験生の一般的な素質についての質問があるからね」
「一般的ということは、日常的ということですか」
「そうだよ。『あなたの長所を三点挙げてください。そしてそれを証明してください』(Citez moi trois de vos qualités et justifiez) 本当に日常的な質問だね」
「こういう質問はもっともふつうの質問ですね。日常的にもよくあることです」
「そうだね。しかし日常的な質問ではあるが、答えるのが難しい質問でもあると思う。自分という者を自分がどのように見ているのか。他人を見るときは割と冷静に見ることができる。しかし自分を見るときにはなかなか冷静に見ることは難しいからね」
「はい、そう思います。自分で自分を評価するとなるとどうしても過大評価になりがちだからですね。なかなか客観的に評価できにくいですね」
「そこでそれを証明するようにとも質問されるわけだ。こうなってくると簡単には自分を過大評価できなくなるよ。ほかの人が聞いて納得できる根拠を示さなくてはならないのだからね」
「根拠を示さなくてはいけない。こうなってくると簡単に自分を過大評価できなくなります」
「これとは反対にこういう質問もされるよ『あなたの欠点を三つ挙げてください。そしてそれを証明してください』(citez moi trois de vos défauts et justifiez)」
「やはりそうですか。当然の質問ですね。絶対避けられない質問です」
「こういう質問はあまりうれしくはないけれど、しかし質問する側にとっては一番重要な質問だからね。どこの世界でも必ずついて回る質問だね」
「しかしこれのやはり根拠を挙げなくてはいけないわけですね」
「そうだね。かなりつらいこたえになるけれど」
「機長はどう答えたのですか、と聞きたいけれどこればかりは本人だけ知っていればいいことで、他人が口を出すべきことではないですね」
「そうしてもらえるとありがたいよ」 つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます