188話 面接で聞かれること 11

第190章

 ジュースが二つ運ばれてきた。二人の前のテーブルの上に置かれた。機長はさっそくそのジュースを飲みだした。

「今までよく話したから、このジュース特に美味しいね」

「すいません。たくさんいろいろ教えてくださって」

「いや、私が好きで勝手に話しているだけだよ。こんな私の話を君は熱心に聞いてくれる、私のほうがありがたいよ」

 藤枝も運ばれたばかりのジュースを飲みだした。二人はしばらくの間ジュースを静かに飲んでいた。機長がジュースの入ったコップをテーブルに置くと、藤枝もコップをテーブルの上に置いた。すると機長が言った。

「ではまたそろそろ始めようか」

「お願いします」

「あと三分の一くらいだから頑張って聞いてほしい。では質問の続きを。『あなたにとって、ラファール機のパイロットは、ファルコン50のパイロットよりもいいですか』(Selon vous, un pilote de Rafale est meilleur qu’un pilote de Falcon 50?)」

「ラファール機とはジェット戦闘機のことですね。そしてファルコン50は海上哨戒機のことですね」

「そうだよ」

「ということはこの質問は、海上哨戒機のパイロットよりも戦闘機パイロットのほうがいいですか、ということですね」

「そういうことになると思う」

「ではこの質問は受験生によってそれぞれですね。戦闘機希望者はもちろんそうですというこたえになるでしょう。しかし海上哨戒機希望者はそうではありませんというこたえになるでしょうね」

「そうだね。どっちのこたえが正解ということではないからね。その受験生それぞれだから」

「こういう質問は結局、その人の好みや趣味といったことで決まりますね」

「そうそう。どちらの飛行機も存在しているということはそれぞれ価値があることだから。敵と直接戦うことはもちろん必要だけれど、それだけでは国の防衛は成り立たない。それ以外にも日常の予防活動もとても大切だからね」   つづく

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