183話 面接で聞かれること 6

第185章

 ここで機長はジュースを一口飲んでまた続けた。

「このように自分は良いパイロットになれますとこたえると、『ではあなたにとって良いパイロットとはなんですか』(C'est quoi un bon pilote pour vous alors?)と質問されるよ」

「この質問はさっきの(Qu'est-ce qui ferait de vous un bon pilote?)という質問と同じではないのですか」

「両方の質問の違いはすべてのパイロットに当てはまることか、あなただけに当てはまることかということだよ」

「最初のほうはすべてのパイロットに当てはまる質問。あとのほうは受験生その人だけに当てはまる質問ということですね」

「そういうこと。だからあとのほうの質問では、質問された受験生自分だけに当てはまるこたえをすればいいわけだ。ほかの人にはあてはまらなくてもいいわけだよ。そこで私はこの質問にはこうこたえたよ。『ヴェロニクジャノの飛行士の曲が好きな人が私にとっての良いパイロットです』」

「確かに。それではすべての人には当てはまりませんね」

 藤枝もここでジュースを一口飲んだ。

「では次の質問をお願いします」

「『どうしてあなたは海軍なのですか、どうして陸軍や空軍ではないのですか』(Pourquoi la Marine et pas l'Armée de Terre ou l'Armée de l'Air?)」

「この質問も個性的なものですね。結局その人個人の相性とか趣味とか好みとか、そういうことですね」

「そうだね。私は海で船に乗るのが好きだからとこたえたね」

「私も海の見える景色がとても好きです」

「湖や川では物足りない。やはり大きな海でないとね。私は魚釣りが好きだけれど、やはり海釣りが一番だ。海岸で魚釣りするのもいいし、釣り船に乗って沖釣りするのもいいし。やはり海での魚釣りは最高だよ」

「私は魚釣りのことはわかりませんが、海から吹いてくる潮風に当たりながら海岸線を散歩したりするのがとても好きです」

「うん、そうそう」   つづく

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