第１８０章

「では機長、お願いします」

「はいよ」

「まず面接の時どういうことが聞かれるのでしょうか」

「一番最初に『自己紹介してください』(Présentez-vous)と言われたよ」

　藤枝はノートに書き留めていった。

「自分の名前や生年月日、生まれたところ、今住んでいるところ、現在の社会的身分、つまり高校生、ということなどを答えればいいのですね」

「ずいぶんくわしいね、それだけできればだいじょうぶだよ」

「さっきここの上の階にある会議室でのセミナーで教わったからです」

「君ももうすぐ学校を卒業して社会人になるからいろいろ努力しているようだね」

「はい。それでそのほかにはどういうことが質問されるのですか」

「『どのような勉強をしてきましたか』(Quelles étude avez vous effectué ?)と聞かれたね」

「では今、高校で習っている科目を答えればいいのですね」

「そうだね。その習っている科目の中で成績が悪い科目がある場合、その理由も聞かれたよ(pourquoi avez vous eu des mauvaises notes dans cette matière?)」

「理由ですか。あまり興味がない科目だからとかでいいのでしょうか」

「それでいいと思うよ。ただ黙っているのはよくないからね。何か言わないと」

「それからどういう質問がされるのですか」

「『今までどういう学校やそれ以外で勉強してきましたか』(Quel est votre parcours scolaire?)とかね」

「では今までの小学校、中学校、高校や水泳教室、英会話教室、セミナーなどを答えればいいのですね」

「そうだね。学校関係の質問はこんなところだったね」

「ではそれ以外にも何か質問されるのですか」

「されるよ。ものすごくたくさん。まだまだいっぱいあるから。全部で30くらいあったと思う」

「そんなにあるのですか」

「あるよ。これからまだまだ長いから。1時間近くかかったと思うよ」

「どんな質問がされるのですか」

「これからが長いからね。ここでちょっと一休みさせてくれ」　　　つづく

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