176話 エールフランス航空機長との再会
第178章
藤枝は講師が話したことを必死にノートに書きとっていた。
「そろそろ時間になりました。これで私の話を終わらさせていただきたいと思います」
講師がこのように締めくくりセミナーが終わると藤枝は会議室を出ていった。彼女がこの建物の1階にある書店を通って外に出ようとした時であった。出入口付近で外国人が本の立ち読みをしていた。彼女はその外国人を見るや思わずつぶやいてしまった。
「あ、元EOPAN・FRのエールフランス機長」
それを聞いたその外国人は藤枝のほうを見た。
「君は、確か羽田空港でエールフランスの飛行機の掃除をしていたね……」
「はいそうです。あの時はありがとうございました」
「ああ、そうだったね。EOPAN・FRの航空知識試験の問題だったね、それを熱心に質問していたね」
「はい、おかげで助かりました」
「何が助かったのかはわからないけれど、役に立ったのであれば私もありがたいよ」
「機長はまた日本にフライトですか」
「そうだよ。きのう羽田空港についたばかりだよ」
「今、時間がありますか」
「あるけどどうして」
「また教えてもらいたいことがあるのです」
「今度は何かね」
「EOPAN・FRの試験で最終面接試験がありますよね。体力試験が終わった後の、一番偉い人たちの面接試験です」
「あるけどそれがなに」
「どういうことが質問されるのか教えてもらいたいのです」
「きみはよほどEOPAN.・FRの試験に興味があるようだね」
「あります。ですからお願いします」
「わかったよ。私も今退屈していたからちょうどいいね」
「ではお願いします」
「しかしここでは立ち話ができないから。君、このあたりに喫茶店でもないかね」
「あります。この建物の上の階にあります」
「そう、ではそこに行こう。私のおごりだ」
藤枝はエールフランスの機長を上の階にある喫茶店に連れて行った。喫茶店内の席に二人がついた。
「君は何がいいかね」
「ジュースを」
注文が終わるとさっそく藤枝は機長に質問を始めた。 つづく
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