174話 続試験対策セミナー 1
第176章
「面接試験で一番最初に聞かれること、それはあなたはどういう人物かを知るための質問です。面接担当者にとって、あなたは未知の人物だからです。名前も知らない。いつ生まれたのかも知らない。どこで生まれたのかも知らない。今どこに住んでいるのかも知らない。今はあなたは何をしている人なのかも知らない。生まれてから今まであなたはどういう生活をしてきたのかも知らない。こういう次第だからです。そこでこれらのことを知るために面接担当者があなたにこれらの事柄について質問をするわけです。これで面接のときにどういうことが聞かれるのかがおわかりになられたと思います。つまり今まで私が述べた面接担当者にとって知らない事柄です」
藤枝は講師が今まで話した事柄をノートに書いていった。
「ではそこでこれから今まで私が述べた事柄について一つづつくわしく見ていきたいと思います」
講師はここで一息入れた。
「まずは名前と生年月日です。次に生まれた場所と現在住んでいる場所です。これらの質問事項は最も基本的で一番重要な事柄です。これであなたという人物のこの世界での存在が特定できるからです。しかしこの質問だけではまだあなたの個性というものがわかりません。これだけの情報ではあなたを人間として見ることはできなくて、まだ物として見ているだけです」
藤枝はここで一時書くのを中止した。
「あなたを個性のある人間と見るためにこれからさらにいろいろな質問がなされていくのです。あなたは今何をしているのですか、という質問です。つまり今現在のあなたの社会的身分や職業のことです。職業に関しては、現在あなたが仕事をしている方であればどういう仕事をしているのかということです。もし仕事をしていないのであれば、学生なのかということです。もし仕事も学校にも行っていないのであれば、普段どういう生活をしているのかということです。無職なのか、病気やけがで療養中なのかといったことです。このような社会的身分のことです」 つづく
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