168話 水泳試験用意 

第170章

「これから水泳体力試験を行います。まずこの水泳体力試験の行い方を説明します」

 試験官は六つ並んでいる四角柱の飛び込み台を指さしながら説明を始めた。

「そこの飛び込み台から飛び込んでもらいます。そして100メートル泳いでもらいます。自由形なためどのような泳ぎ方でもかまいません。しかしできるだけ早く泳いでください。それぞれの泳ぎ型ごとにあらかじめ点数が決められています。ですからどのような泳ぎ型を選んでも有利になったり不利になることはありません。この100メートルを泳いだ後ですがそのまますぐに今度は無呼吸で10メートル泳いでください。この無呼吸で泳ぐ10メートルは早く泳ぐ必要はありません。早く泳ぐ必要はありませんが顔を水面からは出さないでください。このプールは25メートルあります。ですから2往復してもらいます。そして2往復した後、今度は無呼吸でさらに10メートル泳いでもらうわけです。いいですね」

 試験官は持ってきたストップウオッチを見せながら説明を続けた。

「泳いだ時間はこのストップウオッチで計ります。計り方は最後の10メートルの無呼吸の泳ぎが終わったところでこのストップウオッチを止めます。このようにしてこのストップウオッチで計った時間から最大5秒を限度としてそこから引いた時間が100メートルを泳いだ時間となります。以上です。では始めます」

 試験官は、藤枝とジャンヌのほうを見て言った。

「ジャンヌ」

「はい」

「藤枝有紀子」

「はい」

「二人、ここの飛び込み台の前に来てください」

 二人は飛び込み台の近くに来た。

「ジャンヌは1番の飛び込み台の上に」

「はい」

「藤枝有紀子は2番の上に」

「はい」

 二人はそれぞれ指示された飛び込み台の上に立った。試験官は二人を見ながら言った。

「用意!」

 飛び込み台の上で二人は背中を丸め水面を見つめた。試験官は笛を口のそばにもっていきながらカウントダウンを始めた。

「3.2.1」   つづく

 

 


 


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