167話 水泳試験開始

第169章

 藤枝たちはプールの飛び込み台付近で待機していた。

「ここのプールの建物の中って床から天井まで全部ガラス張りですね、ジャンヌ」

「そうだね。だからとても明るいね」

「なんだか温室の中にいるみたいですね」

「これなら冬で暖かそうだね」

 藤枝は3番と4番の飛び込み台の間にある、高さ2メートル以上ある飛び込み台を指して言った。

「あそこにある飛び込み台ってまるで船の先頭のような形をしてますね」

「そうだね、下側から上に行くにしたがってアーチ形に前のほうに向かっている造りになっているからね」

「飛び込み台の上側、人が立つところには手すりがついている。本当に船の先頭部分の形そのものですね」

「これからやる水泳試験だけど、あそこから飛び込むのかね」

「さすがにそうではないでしょう」

「あたしなら別にそれでもいいけどね」

「あたしは困ります。まだああいう飛び込み台から飛び込む練習したことがないので」

「高いところから水に飛び込むにはやはりそれなりの練習が必要になるね、確かに」

「そういう練習はここに入ってからのことですね」

「そうだね。とにかく今日はここに六つ並んでいる普通の飛び込み台から水面に飛び込んでいかに速く泳ぐか、これが問題だ」

「あたしは平泳ぎでやることにしました。ジャンヌはやはりクロールですか」

「実はまだ決めてないよ」

「試験はもうすぐですよ。早く決めないと」

「そうだね、どうしようか」

「100メートル泳いだ後、さらに10メートル無呼吸で泳がなくてはならないでしょう、だからそのことも考えて決めたほうがいいと思います」

「そうだね」

 この時、試験管がやってきた。   つづく





そこへ試験官がやってきた。

「これから水泳体力試験を行います。100メートル自由形です。その後すぐそのまま無呼吸で10メートル泳いでもらいます」

 天井までガラス張りのプールの中は明るかった。

「ジャンヌ」

「はい」

「藤枝有紀子」

「はい」

「では二人、ここの飛び込み台に来てください」

その飛び込み台は


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