164話 バメバルスタート

第166章

 試験官は名簿を見ながら言った。

「ジャンヌ」

「はい」

「藤枝有紀子」

「はい」

「二人一緒に走ってもらいます。ではここのスタートラインに来てください」

 二人は支持された場所、白い横線が引かれているところの来た。

「女子の最高値は14段階です(le maximum pour le personnel féminin est d'atteindre le palier 14)」

 フランス海軍での女子の最高値14段階の基準は今年2022年6月21日から適用されるようである(Barème féminin:palier 14 max applicable depuis le 21 juin 2022)

「位置について」

 試験官が二人に言った。二人は両方の腕を腰あたりに構えた。

「スタート」

 二人はゆっくりと走り出した。最初の2分間は20メートルの間を9秒というゆっくりとした走りであった。

 2分を経過した。ここから第1段階となった。今まで走った距離は260メートルであった。この第1段階から0.5キロメートルずつスピードを上げていくことになった。

 3分経過した。今まで走った距離は400メートとなった。ここから第2段階に入った。そしてまた0.5キロメートル、スピードを上げることになった。

 4分経過した。走った距離は560メートルであった。ここからは第3段階である。そしてまた0.5キロメートル、スピードを上げた。

 二人はこのようにして1分ごとにスピードを上げながら走っていった。二人はほぼ並んで走っていた。二人の走るスピードはまだ同じであった。

 しかし10分経過したころからだった。次第に二人の走るスピードに差が出始めてきた。藤枝はジャンヌに一歩遅れるようになってしまった。

 11分経過した。走った距離は1840メートルになった。ここから第10段階に入った。ここでまた0.5キロメートル、スピードを上げて13キロメートルにしなくてはならなかった。

 12分経過。走った距離2040メートル。第11段階。藤枝とジャンヌの差はどんどん開いていった。藤枝の顔は次第に苦しそうになってきた。

 13分経過。距離2280メートル。第12段階。藤枝は完全にジャンヌに引き離されてしまった。   つづく

 

 

 

 

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