204話 最終面接試験開始

第206章

 藤枝を呼びに来た試験官が席に着いた。藤枝から向かって左側で90度の角度で座った。すると藤枝の真正面に並んで座っている3人の面接試験官のうちの一人がさっそく質問を始めた。

「自己紹介してください(Présentez-vous)」

「はい。はじめまして。私の名前は藤枝有紀子といいます。17歳です。高校3年生です。日本の高校生です。趣味はマカロンのお菓子を作ることです。そのためフランス洋菓子店でアルバイトをしています。マカロンのお菓子を作っています。しかし私のほかのアルバイトの人たちはみんなマカロナージュが上手です。私だけが下手です。そこで毎日マカロナージュの訓練をしています。絶対にいつか上手にマカロナージュができるようにして見せます」

「どうしてマカロンのお菓子がいいのですか」

「まずあの形が好きです。あの丸い形です。見ただけでおいしそうに見えます。丸い形というものはもちろんとんがったところがないわけです。このとんがり部分、それがそのお菓子の味の印象といいますか、雰囲気的な味にかなり影響を与えていると思います。つまり、とんがっている部分があると辛そうなイメージがあると思います。そのためこのとんがり部分が全くないと、辛そうなイメージがなくなり実に甘そうなイメージが出てくると思うからです。甘くておいしそうなイメージです。それと食べた時の食感です。形が丸いため口の中に入れた時の相性がいいわけです。口の中も丸い形になっているからです。そのため口の中に入れた時、実にぴったりと収まるからです。とんがった部分がないため口の中に入れた時刺激されることがないからです。とんがった部分があると、そこが口の中の壁に当たり刺激されます。辛さというものは口の中で起きる刺激です。こういうものがまったくないからです。そしてもちろんマカロンの持つあの独特の味です。あの味が実に素敵です。特に生地の間にクリームを入れるのが好きです」   つづく

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