160話 垂直高跳び試験開始

第162章

 腕立て伏せの体力試験が終わると、藤枝たちは黒板がある壁際に連れて行かれた。

「これから垂直高跳び試験を行います。今まではここにある黒板で跳んだ高さを測っていました。この黒板の横に立って腕を頭の上高く伸ばして指をこの黒板に触れるわけです。そして一番高く跳んだ時に指をまたこの黒板に触れるわけです。そしてそれらの間を測っていたわけでした」

 試験官はこう言うと黒板の近くに置かれていたカメラを固定するためのような三脚を示しながらまた言った。

「これは測定器です。黒板ではなくこれで跳んだ高さを測ります」

 その三脚の上にはカメラではなく四十センチくらいの高さのある測定器がつけられていた。

「これから私がやり方の手本を示します。よく見ていてください」

 試験官はマットの上に立った。そして両方の足の膝を曲げしゃがみ込んだ。そして両足を一気に伸ばして跳びはねた。そしてまたマットの上に落ちて来た。

「こういう具合です。こうすることによってとんだ高さを測ることができます。マットから足が離れている時間が長いほど高く跳んだということです」

 試験官は測定器のマットから離れると言った。

「では今から試験を始めます。名前を呼ばれたらこのマットの上に立ってください」

 試験官は名簿を見ながら言った。

「ジャンヌ」

「はい」

「ではこのマットの上に立ってください」

 ジャンヌは測定器のマットの上に立った。

「では跳んでください」

 ジャンヌは両足の膝を曲げてしゃがみこんだ。両足の膝を思い切り伸ばして跳び上がった。そしてまたマットの上に落ちてきた。

「ジャンヌ、58センチ」

 こう試験官が判定をした。

「次、藤枝有紀子」

「はい」

「ではこのマットの上に立ってください」

 藤枝もマットの上に立った。

「では跳んでください」

 藤枝は両足の膝を曲げてしゃがみこんだ。そして両足を一気に伸ばした。空中に一瞬止まったかに見えたがすぐにまたマットの上に落ちてきた。

「藤枝有紀子、51センチ」

 こう試験官が判定した。こうして垂直高跳びの体力試験も終わった。   つづく


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