130話 続ロープクライミング練習

第132章

 コーチは藤枝を一本のロープがぶら下がっているところに連れて行った。

「では次はこのこぶの付いたロープで練習しましょう」

「ロープが結ばれてこぶのようになっているロープですね」

「そうです。このロープには一定の間隔で結び目のこぶがついています。そこでこのこぶを利用して登っていくわけです」

「このロープならばただまっすぐのロープに比べ昇りやすいですね、先生」

「そうですね、手でつかむところもありますし、足をのせるところもありますからね」

「結び目のこぶがないロープだと腕だけで体の体重全部を支えなくてはなりませんから大変です」

「確かにそうです。しかし縄ばしごに比べればやはりきびしくなりますよ」

「はい、もちろんわかっています。縄ばしごの時は体のすべての体重を足にかけることができましたが、このの結び目のこぶがついたロープでは、それはできませんからね」

「そうです。結び目のこぶの大きさは小さいですし、それに丸まっていて滑りやすいですからね。そのため両手でしっかりロープをつかまえていなくてはいけませんですから。そしてその時かなりの体重が手にかかります。だから大変です」

「はい、先生。しかし結び目のこぶのないロープを昇れるようにするためにはどうしてもできるようにならないといけませんから。この結び目のあるロープで練習するのは予行練習としてとても大切だと思います」

「ではさっそく練習してみましょう。最初はいきなり6メートルではなく3メートルぐらいで練習しましょう」

「よろしくお願いします」

「自分の頭の上にあるロープのこぶを手でつかみます。そして足を自分の下側にあるこぶの上にのせます。手でつかんだこぶ、そこを強く握りしめて腕を曲げて体全体を上方に持ち上げます」

 藤枝はコーチから言われたとおりにやってみた。

「はいその調子です。そういうぐあいで昇っていきましょう」

 藤枝はロープを昇って行った。

「何とかできそうです、先生」

「ではこれからこういう具合で練習していきましょう」

 彼女はロープから降りるとコーチに言った。

「自分の家でも練習してみたいのですが、このロープ買うことができますか」

「日本のことはわかりませんが、フランスでは、2メートルから10メートルの長さのロープでしたらインターネットで買うことができます。11メートル以上だとオーダーメードになります。値段は約60ユーローくらいです」   つづく

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る