129話 ロープクライミング練習開始

第131章

「ここに縄ばしごが垂れ下がっています。6メートルの高さがあります。まずはこれで練習をしてもらいます」

「はい」

「縄ばしごの昇り方は特に説明しなくてもいいと思います。常識的な昇り方ですからね。二本の長いロープの間を横方向に30センチくらいの短いロープが結び付けられているわけです。ですから普通のはしごと全く同じです」

「そうですね」

「しかし大きな違いは、柔らかいロープでできているため大きくゆがむということです。そして常にぶらぶら大きく揺れ動いてしまうことです。ですから昇っていくときはうまくバランスを保ちながら昇っていくことが大切です」

「はい」

「体の体重を全部足にかけることができるため、腕にはそれほど力をかけなくても昇っていくことができます」

「これなら特に練習しなくても昇れますね」

「しかし基礎がとても大切です。これからの練習、つまりこぶのついたロープとついていないロープの練習の基礎になるためしっかり練習しましょう」

「はい、わかりました」

「では昇ってみてください」

 藤枝は両方の手のひらで上から垂れ下がっている縦長の二本のロープをそれぞれつかんだ。そして右足を上げて左足の膝ぐらいの高さにある横方向のロープを踏んだ。すると足をかけたロープが大きく下方向にくぼんだ。さらに右足に体重をかけた。するとすぐに左手でさらに上方向のロープをつかんだ。そして左足下を右足の膝くらいの高さに持ち上げてそこの横方向のロープを踏んだ。このようにして彼女はどんどん上に向かって昇っていった。

「いいですね、その調子です」

 コーチが上に昇っていく藤枝に下から声をかけた。彼女は一番上まで行くとすぐに下りてきた。

「この縄ばしごの昇り方は特に問題ないでしょう。あとはできるだけ早く昇れるように練習するだけです」

「わかりました」

「ではもう一度今度はできるだけ早く昇ってみてください」

「はい」

 彼女は今度は慣れたためか、前よりも早く昇っていくことができた。そしてすぐおりてきた。

「その調子です。その調子なら一本のロープだけを昇っていくのもできるようになるでしょう」

「そうだといいのですが。いやそうでなくてはならないのです」

「その熱意があれば、うまくいきます」   つづく

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