128話 ロープクライミング練習

第130章

「では藤枝さん、こちらに来てください」

 彼女はコーチにロープがたくさんつら下げられているところに連れて行かれた。

「ロープクライミング(montee de corde)は三種類あります。一つは縄ばしごを昇るものです。もう一つはこぶの付いたロープを昇るものです。そして三つめは、ただまっすぐのロープを昇っていくものです。藤枝さんはどの練習を希望でしたか」

「ただまっすぐのロープを昇っていくものです」

「でしたら一番難易度が高いロープクライミングですね」

「そうですね。しかしどうしても昇れるようになりたいのです。6メートルをです。しかもなるべく早く昇れるようになりたいのです」

「わかりました。ではさっそく練習を始めましょう。ではこれからの練習の段取りについて説明します。まずは縄ばしご(echelle de corde)で練習します。縄ばしごで6メートル昇れるようになる練習をします。それができるようになったら今度はできるだけ早く縄ばしごを6メートル昇れる練習をします」

「はい。よろしくお願いします」

「縄ばしごができるようになったら、今度は、こぶの付いたロープ(corde à noeuds)で練習します。このロープでとにかく6メートル昇れる練習をします。それができるようになったら、今度はできるだけ早く昇っていく練習です」

「わかりました」

「そして最後に、普通のまっすぐなロープ(corde lisse)を昇れるようになるための練習です」

「早くできるようになりたいです」

「基礎からしっかりれ練習すればできるようになりますよ」

「そうだといいのですが、いやできないと困るのです」

「ずいぶん熱心ですね」

「目標があるからです。目標があるとやる気が出てくるからです」

「確かにそうですね。目標がなくただの時間つぶしのためだとか、娯楽のためでは長続きしませんね」

「そうだと思います」

「ではさっそく練習を始めましょう。最初は縄ばしごを昇る練習をしましょう」

「よろしくお願いします」   つづく

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