123話 バメバル練習中

第125章

 藤枝はほぼ歩く速さの二倍のスピードで走り続けた。コーチが藤枝に指示を始めた。

「最初の2分間は20メートの間を9秒で走り続けてください」

これを聞くと彼女は走りながら大きくうなずいた。

「2分たちました。ここから第1段階(palier 1)となります。今まで走った距離は260メートルです(distance totale parcourue 260 m) これから0.5キロメートずつスピードを増やして走ってください」

 彼女は少しスピードを速めて走り出した。

「3分たちました。ここから第2段階です。今までの距離は400メートルです。また0.5キロメートル、スピードを上げていってください」

 彼女はさらに走るスピードを上げていった。

「4分たちました。ここから第3段階です。今までの距離は560メートルです。また0.5キロメートル、スピードを上げていってください」

 このようにして藤枝は1分ごとにスピードを上げながら走り続けていった。しかし10分経過したころからだった。藤枝の疲労感が次第にひどくなってきた。

「がんばってください藤枝さん。今現在は第9段階です。今まで走った距離は1660メートルです。12.5キロメートルまでスピードを上げてください」

 しかし彼女はよろけるような走り方になってしまった。

「今10分32秒です。1740メートル走りました。もうすぐ、第10段階になります。がんばってください」

 10分43秒でコーンがピーと鳴った。この時藤枝はかろうじて間に合った。10分49秒。次のコーンがピーと鳴った。彼女はほとんど同時に何とか通過できた。10分54秒。次のコーンがピーと鳴った。ここも彼女は必死で通過した。

「もうすぐ11分です。第10段階になります。がんばってください」

 11分00秒。コーンがピーと鳴るや彼女は倒れこむようにして通過していった。

「第10段階に入りました。13キロメートルまでスピードを上げてください」

 11分06秒。コーンが藤枝の少し前でピーと鳴ってしまった。彼女はその場で倒れこんでしまった。

「ご苦労様でした、藤枝さん。今回のあなたの記録は、走った距離は1840メートル。最高速度、12.5キロメートル。第9段階となります」

 藤枝は息が荒く返答ができなかった。

「こういう具合です。このようにしてこれから練習していきましょう」   つづく

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