120話 続腕立て伏せ練習

第122章

「体をまっすぐにして、そうそう、そして体を下におろしていきましょう」

 藤枝は体をゆっくりと下に向かっておろしていった。

「くさび、かいものが胸にぶつからないところで体を止めて、そしてひじを伸ばして体を起こしていきましょう」

 藤枝は肘を伸ばして体をまた起こしていった。

「その調子です。はい続けて」

 しかし藤枝は足のひざを床につけてしまった。

「もうだめですか」

「これ以上無理です」

「そんなことでは26回出来ませんよ」

「先生、何かすぐできる方法ありませんか」

「そんなものあるわけありません。毎日毎日ひたすら練習するしかありませんよ」

「そうですよね。ではもう一回」

 こうして彼女はまた体を直線にして腕で体を支えだした。

「はい、ではいきましょう」

 しかし彼女はもうこれ以上できなかった。

「わかりました。では藤枝さん、別のやり方で練習しましょう。連続して何回もやる方法です(la série de pompes sans interruption) 回数が多くなるため厳しい腕立て伏せですが。フランス陸軍(Armée de Terre)での腕立て伏せの練習方式です」

「これでやればできるようになるのですか」

「あなたの努力次第です。いいですか、やり方はまず、体を直線にまっすぐして腕で支えます(corps rectiligne) ここまでは今までと同じです。しかし今度は、胸の下にはくさび、かいものがありません。そのため体を下ろしていき床に胸をつけてしまいます(la poitrine touche le sol) そして手で体を持ち上げます(élévation des mains) このやり方で最初は26回やりましょう。しかし実際はもっとたくさんやる必要があるため厳しい腕立て伏せですが」

「わかりました」

 藤枝は体を直線にして腕で支えた。

「はいそのまま体を下ろしてください。そして胸を床につけてください」

「はいできました」

「胸が床に着いたら両方の手のひらを床から離して少し前に動かします。頭の位置ぐらいまでです」

「こうですか」

「そうです。そして今度はその両方の手のひらを胸のあたりまで戻してまた床につけて体を起こしていくのです」

「できました」

「このようにして腕立て伏せをしていきます」

 藤枝はこのやり方で腕立て伏せを始めた。

「あ、いいですね、先生。このやり方でしたら26回出来そうです」

「最初は26回練習していきましょう。そしてできるようになったら回数を増やしましょう。そしてまた元の方法でも練習しましょう」   つづく

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る