94話 自己紹介の練習終了

第96章

「これから未来や願望についての話になります」

「話していくうえで一番楽しいところだね」

「はい、しかし一番話す量を少なくしなくてはいけないところでもあります」

「自己紹介というのは、未来や願望よりもその人の現在と過去が一番大切なことだからね」

「そうです。現在や過去のことよりも未来や願望のことばかり話したりしたら、その人はウソをつきたがる人というようなイメージを持たれてしまうかもしれません」

「現在や過去のことは事実だけれど、未来や願望のことはウソだからね」

「はい、聞いている人もそんなウソ話をいつまでも聞かされていては面白くはないと思います」

「だから自己紹介するときは、未来や願望の話は、一番最後に一言ぐらい付け足して話すだけがいいかもね」

「はい、そうします。ただもし時間が余ってしまったら、その時は仕方ないので、未来や願望の話で余ってしまった時間を埋めていくつもりです」

「時間は5分もあるからね。確かにあまってしまった時間、何も言わないでやり過ごすのは大変だね」

「何も言わないでやり過ごすくらいなら、ウソ話でもいいからやはり何か話したほうがいいと思います」

「では、現在と過去の話は今練習した話をできるだけゆっくりと話してなるべく5分間持たせるようにする。そして時間が余ってしまったら仕方ないから、その時は、未来や願望のウソ話で埋めていく、こういうやり方で英語の面接試験、やっていくつもりなんだね」

「そうです。こういう方法しかもうありません」

「ではがんばって」

 その時先輩上級生が二人の部屋の中に入ってきた。

「心理学者による面接が全員終わりました。これから試験会場のEIPに行ってもらいますので二人とも外に出てください」

「いよいよ合格発表ですね、ジャンヌ」

「といってもまだ昨日の試験の結果だけれどね」

「心配ではありますが、なんだかワクワクします」

「そういう気持ちが起きるということは結果に自信があるんだね」

「自信があるというより、待ちに待った結果をやっと知ることができるという気持ちかもしれません」

 二人は部屋を出て行った。   つづく

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