95話 第1日目の試験合格発表
第97章
受験生たちは、試験会場のEIPの2階のロビーに集められた。しばらくするとそこへ試験官がやってきた。
「これから昨日の第1日目の試験結果を発表します。合格者の名前を読み上げます」
試験官は、合格者名簿を読み始めた。するとたちまち受験生たちの間から喜びの声や落胆のため息が聞こえてきた。
「……、アランドロン、……」
「よし!」
自分の名前が呼ばれると、アランドロンは思わず声を上げた。藤枝とジャンヌは彼のほうを見た。そうしている間もどんどん名前が読み上げられていった。名前を呼ばれた受験生たちは心に余裕ができたようでお互いに冗談を言えるほどになっていた。 しかし藤枝とジャンヌはまだ真剣な表情で読み上げられていく名前を聞いていた。
「……、ジャンヌ、……」
「そう来なくっちゃ!」
ジャンヌはうなずいた。ジャンヌの名前が呼ばれた後も合格者の名前が呼ばれ続けて行った。藤枝は、なかなか自分が呼ばれないため次第に心配になってきた。急に試験官の言い方がゆっくりになった。そして試験官は持っていた合格者名簿から顔をあげて言った。
「……、藤枝有紀子、以上です」
藤枝は最後に自分の名前が呼ばれると、ほっとした気持ちになった。今までの緊張感が和らぎ穏やかな気持ちになった。
「合格できなかった受験生は、これからこの基地から退出してもらいます。そのための手続きをしてください。合格者はこのままここにいてください」
試験官がこう言うと合格できなかった受験生たちは、下の階にぞろぞろ降りて行った。
「ユキコ、おめでとう」
「ありがとう、ジャンヌ。ジャンヌもよかったですね」
そこへアランドロンがやってきた。
「二人とも合格できたな」
「アラン、あなたは合格も当然みたいね」
「そんなことないよ、大変だったよ」
「ドロンさんは、もしかしたら成績一番だったのではありませんか」
「そんなことわからないけれど、やれることは全力でやったけどね」
「ドロンさんなら、優秀なヘリコプターパイロットになれますよ」
「そうなりたいね」 つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます