第８６章

　藤枝が会議室に着くと、さっそく受付の人に受講を申し込んだ。部屋の中で待っていると、講師がやってきた。

「みなさんこんにちは。私はこの自己紹介セミナーの講師をさせていただくことになったものです。これからよろしくお願いいたします」

　講師が頭を下げると、藤枝達受講者も頭を下げた。

「ではこれから自己紹介セミナーを開催させていただきます。自己紹介はとても大切です。入学試験、就職試験、新しく知り合った人との親睦、このように私たちの生活にとって、とても重要なことです。ですからこの自己紹介のやり方を習得しておくことはとても重要で役に立ちます。そこでこれから、どのようにしてやっていくのか一緒に考えていきたいと思います。まず一番最初にすること、それはもちろんあいさつです。こんにちは、おはようございます、こんばんは、はじめまして、などこのようなあいさつをまず一番初めにします。その次に自分の名前を言います。そして自分の社会的身分を言います。社会的身分と少しかたい言い方をしましたが、ようするに今何をしている者であるかということです。学校に行っているのか、働いているのか、特に何もしていないのか、このようは普段の自分の社会における状態をいうわけです。ここまでで何かご質問ありますか」

「先生、それだけではあっという間に終わってしまいますね。１分もかかりません。５分間持たせるためにはどうすればいいのですか」

「はい、そこの女子高生の方、じつにいい質問です。そこでそのことについてこれからお話しさせていただきたいと思います。それは次の四つに分けて考えて行くとわかりやすいと思います。１、現在について話す。２、過去について話す。３、未来について話す。４，願望について話す。こういうやり方です」

　藤枝はさっそくメモし始めた。

「このように四つに分けて自己紹介をしていくわけです。そうすれば５分間持たせることができます。ではこれからこれら四つのことについて詳しく考えていきましょう」　　　つづく