85話 自己紹介のやり方

第87章

「まず第一として現在について話すのです。次に過去について、次は未来についてです。そして最後に自分の願望について話します。このような順番で話していけばいいのです。こうすれば5分ぐらい簡単に過ぎてしまいます」

「先生、しかし時間的順番では、現在より過去のほうが最初ではないのですか。だから過去を最初に話してから現在について話すのではありませんか」

「確かに時間的順番でいえばその通りです。しかし自己紹介をするときは、まず現在の自分についてから話します。それから過去の自分について話す。このような順番で話したほうがいいのです。相手が知りたいことはまず今、目の前にいる人はどういう人なのかということです。その人の昔のことではなく、それよりも先に今のその人のことだからです。その人の過去のことは、今のその人のことがわかってから興味をもつことになるからです」

「では私の場合は、自分は現在高校生で、高校で普段していることを紹介してから、自分の過去、つまり生まれてから中学生のころまでのことを話せばいいということですか」

「そうです。あなたに初めて出会った人があなたがどういう人かわからないのに、いきなり実は私は昔こういう人物でしたと話をしても、聞いているほうは、だからあなたは今どういう人なのですかと、早く今のあなたのことについて知りたくじれったくなってしまうのです」

「わかりました。まず一番初めに私の現在のことを話す。次に私の過去のことについて話す。そして次に私の未来について話す。そして一番最後に私の願望について話す。こういう順番ですね」

「その通りです」 

「最後の未来と願望ですが、これらはどちらも未来のことですよね、ですから両方の区別がわかりません」

「未来のことはもちろん誰にもわかりません。ですから未来イコール願望と考えることもできます。未来のことはすべて自分がこうなってほしいことと考えることです。ただ厳密に考えると、両者は区別することができます。未来は、必然的な事柄であるが、願望はそうではないということです。未来は自分の意志とは直接は関係ないこと、願望は自分の意志と直接関係があること。しかし自己紹介するときにそこまで神経質になる必要はないと思います。そこで、現在のことを話したら、過去のことを話し、最後に願望を話すというようにしてもいいと思います。未来は願望の中に含めてしまうのです。そこで四つではなくこのように三つに分けて話してもいいと思います」   つづく


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