83話 自己紹介対策
第85章
「藤枝、起きなさい。今英語の授業中だぞ」
「……うーん……」
「起きたか、よく寝てたな」
「……あ、そうか、ここはあたしの高校だったか」
「あたりまえじゃないか、何寝ぼけてるんだ」
「今、英語の授業中でしたね」
「そう、だからなに」
「ちょうどよかったです。先生、英語で自己紹介するやり方を教えてください」
「自己紹介?藤枝がかあ?」
「そうです」
「それよりまず日本語で自己紹介ができるようにならないと」
「英語でできるようになりたいのです」
「だからまず最初に日本語でだ。それができなくては英語でなどできるわけがない」
「もう時間がないのです。そんなのんびりしていられないのです」
「それにしても最近ずいぶん英語の勉強やる気になってきたな」
「どうしてもやらざるを得なくなってしまったのです」
「それは大変に結構なことだね」
「では何とかすぐできる方法を教えてください」
「だからそういうのは無理だって。毎日毎日ひたすら少しづつ学習していくしかないよ。では授業を始めるよ」
藤枝は高校が終わると、アルバイト先のフランス洋菓子店に行った。店の作業場に入るといつもよりたくさんの原材料が山積みにされていた。
「あ、藤枝さん、よかった、今忙しいから早く手伝ってください」
「店長、今日はマカロンずいぶんたくさんありますね」
「そう、急に注文が増えてね。少しアルバイトの人増やさないと。さっき何人かと面接したんだけれど、みんな自己紹介が下手でね。ただそれでも熱意が伝わる人もいて、そういう人は自己紹介が下手でも評価したくなるね」
「熱意ですか」
「そう」
藤枝はアルバイトが終わり自宅に帰る途中書店に立ち寄った。書店の中を見回していたが目的の本が見つからなかったため書店員に尋ねた。
「すいません、何か自己紹介がうまくできるような本はありませんか」
「そうですね、この本などはどうでしょうか」
「じゃあこれください」
「もしよかったらまたこのビルの会議室で、今自己紹介セミナーが開かれているため出席してみませんか」
「そうですか、では行ってみます」
そこで彼女はビルの会議室に行った。 つづく
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