76話 第1日目の試験すべて終了

第78章

 藤枝が階段を降りて一階に着くと、そこにはジャンヌがいた。ジャンヌは藤枝を出迎えて言った。

「これで最初の一日目の試験がすべて終わった。明日今日の試験の結果発表があるよ(Le premier jour est fini, vous connaitrez les resultats des tests le lendemain)」

「そのようですね。本当に大変な試験でした」

「宿舎に帰る前に、少し散歩していかない(Profitez de la fin de journee pour vous balader sur la base)」

 二人は校舎の玄関を出て行った。するとその玄関前の道一つ隔てたところに旗竿が立っていた。そこにはフランス国旗が掲げられていた。その足元には記念用の小さいプロペラ機が置かれていた。

「このフランス国旗、当番になった生徒が二人で朝掲げるみたいね。もしあたしたちがここに入れたら、あたしたち二人でこの国旗をこのように朝掲げるようになるかもしれないね」

「そうなるといいですね。この小さい飛行機、昔はこれで練習していたんでしょうね」

「おそらくね。今の練習機はCAP10型機というようだけれど、この飛行機よりももちろん大きいみたいね」

 二人は歩いて行くと目の前に海が見えてきた。道の右手側は一段高くなっておりそこには芝生が生えていた。そこに実物大のジェット戦闘機が45度の角度で空に向かって置かれていた。そして海のほうを向いていた。

「この戦闘機を操縦できるようになれたら本当にいいね」

「そうですね、このために今あたしたちはここで試験を受けているのですからね」

 二人はこの戦闘機を右手に見ながらさらに歩いて行った。

「どう、海軍士官学校も見学に行ってみない」

「そうですね、いいですね」

 しかしジャンヌが腕時計を見るや言った。

「あ、もうこんな時間、早くあの海が見える一つ星ホテル(l'hotel 1 etoile avec vue sur la mer)の宿舎に帰らないと。夜の食事時間は18時と決まっているから(repas du soir a 18h)」   つづく

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る