75話 藤枝の心理学者による面接

第77章

 藤枝は面接室の中に入っていった。部屋の中は12畳ほどの広さであった。壁はクリーム色であった。その壁には飛行機や空母の写真が額縁に入れられて飾られていた。この部屋の中央に大きな机が置かれていた。横長長方形の机である。横長の部分には3,4人くらいかけられる長さがあった。

「ではそこに座ってください」

「はい」

 試験官と藤枝が席に着くとさっそく面接が始まった。

「あなたが海軍を志望した理由を聞かせてください」

「映画の『トップガン』のようなパイロットになりたいからです」

「ではあなたは『トップガン』を見たから気まぐれでEOPAN・FRの扉を押したのですか ! (Vous avez pousse la porte de EOPAN・FR sur un coup de tete apres avoir vu TOP GUN !)」

「いいえ、そんなことはありません」

「しかもあなたのような女性がですか」

「女性だからできないということはないと思います」

「海軍での女性のポストは主に、電話交換手や、宿舎の清掃ですよ(Elles occuperont principalement des postes de standardistes ou d'aide-menageres)」

「それは昔のことです。今は違います」

「どうしてそう言えるのですか」

「フランス海軍幕僚長(Chef d'Etat Major de la Marine)によると、今年の2022年の初めから潜水艦勤務のすべての職務に女性が志願できるようにもなりました(l'ouverture du volontariat des femmes a toutes les filieres des forces sous-marines des debut 2022) 潜水艦勤務は女性にとって一番難しい職域であるのにもかかわらずにです」

「それは潜水艦のことですね。パイロットではありません」

「いえ海軍の専門的な職種すべてが女子に開かれます(Toutes les specialites de la Marine Nationale sont desormais ouvertes aux femmes)」

「しかし実際に女性が活躍できるとは限りませんよ」

「では私がそのprecursorsになります」

「なんですかprecursorsとは」

「英語で先駆者という意味です」

「ここはフランスですよ。フランス語で話してください。カッコつけて英語で話さないでください」

「すいません」

「ではもういいです。ロビーには戻らずすぐにそこの階段から一階に降りてください」

「はい。ありがとうございました」

 藤枝は面接室を出て行った。そしてそのまますぐに階段を降りて行った。   

                                  つづく

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