72話 心理学者による面接が始まった
第74章
「アランドロンさん」
試験官が彼の名前を呼ぶと、これから面接が行わられる部屋の中に入っていった。藤枝とジャンヌの二人は彼の後姿を見送ると、また話し始めた。
「ドロンさんが一番先に呼ばれましたね、一番成績が良かったのですかね」
「さあね、そんなことわからない」
「いったいどんなこと質問されるのでしょうかね」
「これは受験生の心理的な側面を知るための面接のようだから、いろいろ精神的な圧力をかけて相手がどのように反応するのかを知ることが目的みたいね(son but sera de vous mettre la pression,de voir comment vous reagissez au stress)」
「ではいろいろ厳しいことが聞かれるのでしょうか」
「少しは覚悟していたほうがいいかもね」
「一応覚悟はできてますけれど……」
「ではだいじょうぶでしょ」
「でもやはり心配です」
「ただ一番重要なことは、パニックにならないことだと思うけれどね」
「いつも冷静でいなくてはいけないということですね」
「そうだと思う。気おくれしたり、おじけづいたりしないことが大切だと思う(ne vous faites pas intimider)」
「何があってもドンと来い、ということですね」
「そうね、あらゆることに向かい会えるように心の準備をしておかないとね(preparez-vous a toute eventualite)」
「心の準備ですか。ではいつも最悪な場合に直面したことを考えていればどうにかなりますね」
「これ以上の悪いことは起こりようがないということ、そのような事態にいつも直面していることを考えていれば、なんとかなるでしょう」
「それ以外はたやすいことばかりですからね」
「もし答えられないようなことを質問された場合でも、黙っていることはよくないみたいね」
「とにかく何か反応を示すことですね」
「戦場ではたくさんの最悪のことに直面しなくてはいけないでしょ、だからそれらに対してすぐに何らかの対応をしなくてはいけないわけ。わからないからなにもしないではすまされないからね」
この時、面接室のドアが開いてアランドロンがそこから出てきた。 つづく
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