42話 ギャレーとコックピットの掃除
第44章
藤枝は床の上に散らばっているお菓子の食べかすをガムテープでくっつけて掃除をしていた。するとしだいに機内がきれいになっていった。機内に最初に入った時と比較すると、その差がはっきりとわかる。次のフライトの新しい乗客を迎い入れられるのに十分なくらいのきれいさになった。
「では次は、ギャレーの掃除をしましょう」
彼女はこのように言われると、カーテンで仕切られている小さな小部屋に連れていかれた。
「ここは上戸彩さんのようなキャビンアテンダントがいつもいる部屋ですね」
「そうです。ここでのそうじは、機内食のごみのかたづけです。これもやはり国際線と国内線では大きな違いがあります」
「国際線のほうがごみの量が多いということですね」
「そうです。国内線の場合は、機内食は出なくて茶菓子しか出ない便もあります。そのためこのような便はそうじが比較的簡単です」
「そうでしょうね、国際線は乗っている時間が長いから、機内食も重要でしょうから」
ギャレーの掃除が終わった。
「では次はコックピットの中のそうじです」
「パイロットの操縦室ですね」
「そうです」
彼女は飛行機の一番先頭に連れていかれた。そこにあるコックピットのドアを開けると、中にはまだ二人のパイロットがいた。二人ともフランス人の男性パイロットであった。藤枝達が掃除をこれからすることに気が付いた若い副操縦士のパイロットが機長に言った。
「機長、そうじのようなので私は先に出ていきます」
副操縦士は出て行った。
「ここをそうじしてもよろしいですか」
「あ、どうぞどうぞ」
「では失礼します」
彼女は操縦室の中に入って掃除をし始めた。その時機長の足元に置いてある四角形のパイロット用のカバンに思わず目が行ってしまった。そこにEOPAN・FRのシールが貼ってあったからであった。彼女はこれを見るや思わずつぶやいてしまった。
「フランス海軍パイロット将校生徒」
これを聞いた機長は少し驚いて言った。
「君、EOPAN・FRのこと知ってるの?」 つづく
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