41話 国内線と国際線のごみの違い

第43章

「すごいゴミですね、やはり」

藤枝は機内に入るや驚いて言った。

「この機内でたくさんの乗客が10時間以上も乗っていたからです。パリのシャルルドゴール空港からここ羽田空港までです」

 乗客用の座席がいくつかまとまってずらりと縦長に並んでいる。それらの座席の集合体ごとの間には細長い通路があった。そしてそれらの間にある細長い通路には、たくさんのごみが散らかっていた。

「ではさっそくそうじを始めます。まず大きなごみを拾い集めてください」

「はい、雑誌や新聞紙、お菓子の袋、ジュースの空き缶などですね」

 彼女はさっそくそれらを拾い集めていった。

「どうですか、国際線ともなると、やはり落ちているごみもめずらしいものがたくさんあるでしょう」

「そうですね、お菓子の袋だとかジュースの空き缶など、今までに見たことがないものがたくさんあります」

「それが国内線と違う大きなところです。国内線の場合は比較的落ちているごみは、私たち日本人にとってなじみのあるものばかりです。お菓子の空き袋、ジュースの空き缶、これらは私たちの近所にあるスーパーやコンビニで簡単に買えるものばかりです」

 大きなごみの拾い集めが終わると、通路は歩きやすくなった。

「では今度は、小さいゴミです。つまり床にたくさん落ちているお菓子の食べかすです。これらは電気掃除機で掃除ができますが、国内線の場合はそうではありません」

「どうしてですか」

「国際線の飛行機は次のフライトに使用されるまで国内線に比べ時間があるからですが、国内線は一日中何回も使用されるからです」

「一日中何回も使用されるのと電気掃除機とどういう関係があるのですか」

「国内線のように一日中何回も使用される場合は、飛行機に電源が入ったままだからです。そのため電気掃除機を使用すると、パイロットの操縦室にある計器類を狂わせてしまう恐れがあるからです」

「そういうことですか。では国内線の飛行機のお菓子の食べかすなどの掃除はどのようにするのですか」

「ガムテープを使用します。それでお菓子の食べかすをくっつけて掃除をしていくのです」   つづく




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