38話 藤枝有紀子、羽田空港に行く
第40章
「お客さん着きましたよ、起きてください」
「えー……」
「浜松町の駅に着きましたよ」
「あ、そうだった。すいません、では降ります」
藤枝有紀子はバスを降りた。そして浜松町の駅の中に入っていった。エレベーターで上の階に昇っていった。エレベーターを降りるとその階にある東京モノレールの切符売り場に向かった。切符売り場の前には大勢の人々が並んでいた。彼女もその列に並んで自分の順番が来るのを待っていた。数分後やっと順番がやってきた。羽田空港駅までの切符を買った。切符を買うとプラットホームに向かった。モノレールなためプラットホームの下には鉄でできたレールというものがなかった。コンクリートの床になっていた。しばらくするとモノレールの列車がやってきた。
モノレールは羽田空港に向かって出発した。車内は、鉄道特有のあのガタンゴトンという音が全くなかった。とても静かな車内である。ただモーター音が聞こえてくるだけであった。モノレールという乗り物は、鉄道なのか、それともバスなのであろうか。一見すると鉄道のようである。車両が何台も連結している。プラットホームもある。しかし鉄でできた線路がないし、車輪も普通の鉄道列車とは違う。
窓から見える景色はいい景色である。海が見えるだけではなく海の上をそのまま走ったりしているからである。モノレールという乗り物は普通の町中にあるべき乗り物ではなく、観光地のような場所にふさわしい乗り物なのであろう。
しばらくすると、視界が開けてきた。大きな野球場をたくさん並べた様な場所が見えてきた。羽田空港だ。進行方向の左側に羽田空港を見ながらしばらく進んでいった。もうすぐ羽田空港駅に到着だ。
モノレールが羽田空港駅に着くと彼女は車両を降り改札口を出て行った。そして改札口の左側に向かって歩いて行った。しばらくすると、エレベーターが見えてきた。今までモノレールに乗っていた乗客たちは全員このエレベーターに乗って上の階に向かって行った。この上の階に到着ロビーや出発ロビーがあるからである。しかし彼女だけは、このエレベーターには乗らずそのまままっすぐ歩いて行った。するとそこは行き止まりの壁になっていた。彼女はその壁にある従業員専用のドアを開けて中に入って行った。 つづく
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