37話 人格試験終了
第39章
試験官が教室を出ていくと、受験生たちはいっせいに立ち上がり同じく教室の外に出て行った。しかし藤枝有紀子はすわったままであった。それを見たジャンヌが言った。
「ユキコ、トイレに行かないの」
「緊張感がなくなったら急に、それより眠くなってきました」
「試験はまだまだこれからだよ」
「そうですね。まだ始まったばかりですよね」
「だからトイレにでも行って、顔でも洗ったらいいよ。そうすれば眠気もなくなるよ」
「では行きますか」
二人はトイレに行った。しばらくして二人が教室に戻るとアランドロンが二人を迎えた。
「ユキコ、試験どうだったね」
「何とかやりました」
「アランはどうだったのよ」
ジャンヌがドロンに聞いた。
「僕もなんとかできたよ」
藤枝は自分の席に座るや、うっつらうっつらし始めた。
「さっきトイレで顔洗ってもまだ眠気とれなかった?」
ジャンヌがこう聞くと、藤枝が眠そうに答えた。
「きのうの夜、というか今日の夜、眠れなかったでしょう」
「そうだったね。日付けも替わってしまっていたからね」
「だからです。だから今頃になって急に眠くなってきましたよ」
「だったら今ここで少し寝たほうがいいよ。次の試験が始まったら起こしてあげるから」
「そうですか。でも次は航空知識試験でしょう。この試験対策が不十分で。だから次の試験が始まるまで少し覚えておかないと。ジャンヌ、あの航空開始証明書とかいう参考書見せてくれませんか」
「それはいいけれど、やはり少し寝たほうがいいよ」
「いえ、だいじょうぶです。お願いします。参考書見せてください」
「わかったよ、じゃあ、これ」
藤枝はジャンヌから参考書を受け取ると、ページをめくっていった。しかしすぐこっくりこっくりし始めてしまった。
「あー、もうダメです。本当に眠くなってきました。あたしは少しここで眠ります。次の試験が始まったら起こしてください」
藤枝はこういうと、机の上に顔をうずめてしまった。そして本当に寝てしまった。
つづく
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