28話 心理試験 実は知能テストだった

第30章

「あっ!たいへん!」

ジャンヌが突然飛び起きた。

「どうしたんですか」

「かん違いしてた!」

「なにがですか」

「あしたの心理試験(Tests psychotechniques) この試験、心理という言葉が用いられているから、心の状態を調べる試験かと思っていたけれど、そうでなかった!」

「では何ですか」

「知能テストよ!」

「知能テスト?」

「そう、ドミノをもちいた知能試験。これはドミノの牌をある規則にのっとって並べてあるのを、その規則性を見つけださせる試験だった。高校の数学で数列というの習ったでしょ。それに近い問題。もっとも難しい公式などは必要ないけど」

「数学に近い問題ってことですか!」

「そういうこと」

「それにまさに数列の問題(suite numerique)も出るみたい」

「数学に近いというより、まさに数学ではありませんか」

「幾何学(geometrie) の問題もあるみたい。空間図形とその展開図(figure et leur patrons dans l'espace) の問題の様みたいだった。それに……」

「まだあるんですか」

「しかもそれぞれの問題、30問を18分で解かなくてはならなかったと思う(vous avez 18mn pour 30 questions chacun)」

「どうしよう、あたしは英語もわからないし、数学もわからないし、これでは明日の試験合格できない」

「明日じゃないよ、もう日付変わってしまったから今日だよ」

「あー」

「もうこうなったら、覚悟するしかないね」

「もちろんもともと合格できるとは思っていなかったから、落ちても仕方ないけれど」

「明日、ではなく今日の試験、悔いを残さないように全力でやるしかないね」

「はい、全力でやります。後悔しないように」

「ではもう寝たほうがいいね」

「急に本当に眠くなってきましたよ」

「では今度こそ本当におやすみなさい」

「おやすみなさい」

二人は今度は本当にベッドの中に入るや、眠ってしまった。   つづく


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