27話 人格試験対策は一応完了
第29章
「人格試験は、書店に行き参考となりそうな本買って予習してみました」
「別にこれは英語試験と違って、予習するほどのものでもないでしょ。普段の自分について答えればいいだけだから」
「そうですが、どういう問題が出るのかまったく見当がつかなかったもので」
「それで、見当がついたの?」
「だいたいわかりました。どういうことが聞かれるのかっていうことがです」
「では明日の試験だいじょうぶね」
「それはどうかわかりませんが、この人格試験の練習をやってみてわかったことは、自分というものをわりと客観的に知るということができたということでした」
「自分で自分を知るということ。自分のことは自分が一番よく知っていると思うけれど、実はそうではなかったとか」
「自分というものは生まれたときからあまりにもあたりまえの存在で、特に自分はどういう人間なのかということを今まで考えたことがありませんでした。それでこの人格試験というものをやってみて、自分というものを客観的に知ることができました」
「それでどういうことがわかったの」
「まるで自分を他人のように観察することができたということです。問題をやるごとに、自分というものはこういう人間だったのかあ、とあらためて思い知らされました」
「ユキコがやった人格試験はおそらく一般的な環境下での行動を知るための試験だと思う。明日の人格試験は海軍という組織の中で私たちがどのようにして行動するかを知るために行わられるのだと思う。だからユキコがわかった自分というものを今度は海軍という組織の中において観察することが必要だね」
「そうですね。では今度はそうして自分というものを観察してみます」
「あー、こういう話をしてるとだんだん眠くなってきた」
「あ、そうですね、いつまでも起きているわけにはいきませんね。早く寝ないと、明日の試験がたいへんだから」
「ではおやすみ」
「おやすみなさい」
二人はまたベッドの中にもぐりこんだ。 つづく
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