18話 女子受験生は藤枝と仏人女子の二人

第20章

 藤枝有紀子とジャンヌの二人が食事をしに連れていかれた。食堂は二人が宿泊することになった部屋がある建物とは別のところにあった。戸外にあった。ひとつの独立した建物であった。その建物の入り口には、RESTAURANT BEARN RAMPE SUDと書かれていた。入口から中に入り長めの廊下を歩いて行った先に食堂室があった。

 その食堂室の中に入ると、足元から壁一面が大きなガラス窓になっているのがとても印象的な室内であることがわかる。その窓からは林が見えてまるで林の中にある高級レストランのような食堂であった。食事の仕方は、各自が両手で持つぐらいの大きさのお盆を持ち、その上に料理を載せてテーブルに自分で持っていくというセルフサービス形式であった。そのお盆の中には料理が盛り付けられた二つの皿と水の入ったコップ、カップに入ったヨーグルト一つであった。

 食事が終わると、二人はまた彼女たちが宿泊する部屋に連れていかれた。

「もうすぐ消灯時間ですので。就寝の準備をしてください」

二人を部屋に連れ戻した上級生がこう言い部屋から立ち去った。二人は部屋の中に入るとさっそく寝るしたくを始めた。

「なんだかまるで観光旅行にでも来たみたいだね」

ジャンヌがベッドのしたくをしながら話し出した。

「そうですね、たとえ不合格でも来たかいがありました」

「やはり来たからには絶対に合格しないと」

「ジャンヌはどうしてこの試験を受けようと思ったのですか」

「映画を見たから。『トップガン』」

「やはりこの映画の影響は大きいですね、私もそうですから」

「もうすぐ新しい『トップガン』が上映されるでしょ」

「そうですね、楽しみです」

「その時一緒に見に行かない?」

「出来たら私たち二人とも試験に合格して、一緒に見に行ければいいですね」

「では絶対合格しましょう」

「できるでしょうか」

「まだ消灯時間まで時間があるから、少し明日の試験の予習しない」

「そうですね」

二人はそれぞれ参考書などを取り出した。   つづく

 


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る