15話 夕方5時までにブレスト駅到着

第17章

 TGVはブレスト駅の到着した。藤枝有紀子は隣の席で寝ているアランドロンを起こした。

「ドロンさん、着きましたよ、起きてください」

「あー、もう着いたか」

「では降りますよ」

二人は自分の荷物をそれぞれ持ち列車のドアに向かって車内をゆっくりと歩いて行った。二人は列車のドアからプラットホームに降りると、駅舎に向かって歩いて行った。

「ブレスト駅の出口って一番先頭だったんだな」

「ドロンさんは今までにブレストに来たことはなかったんですか」

「ないよ、今日が初めてだよ」

「ユキコはあるのか」

「あたしも初めてです」

「交通費は海軍が払ってくれるから、もし明日からの試験に不合格でも楽しい旅行ができたよ」

「そうですね、受験する価値はありますね、不合格でも」

二人はやがてプラットホームの出口に着いた。彼はカメラを取り出した。

「せっかく来たんだ外に出る前に記念写真をとろう」

 彼は写真を撮り始めた。ブレスト駅のプラットホームは三つであった。パリの方向つまり東側に向かってA、B、C、D、E、F番線まであった。プラットホームは終点になっていた。プラットホームの向こう側つまり西側にはレールがなくプラットホームのコンクリートの壁で行き止まりになっていた。もちろん当然ことではあるが、パリのモンパルナス駅と全く反対の造りになっていた。東の終点はパリ。そして西の終点はブレスト。記念写真を撮り終えると二人はプラットホームの出口を出た。

 出口のドアを出ると、そこは半円形状のホールになっていた。天井がかなり高いホールであった。4階ぐらいあるであろうか。上側には縦長の窓が壁一面につけられているため中は明るかった。プラットホームの方向の壁には大きな絵が掲げられていた。帆船の絵画だ。まさにここブレストは海の街といったイメージであった。このホールの中には、二人と同じくEOPAN・FRの受験生と思われる若者たちがたくさん集まっていた。彼らは大きなカバンやスーツケースを持っていた。   つづく


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