14話 TGV車内で仏人男子受験生と会話

第16章

 藤枝有紀子の隣に座ったアランドロンはさらに聞いてきた。

「なんで戦闘機を希望なの?」

「映画の『トップガン』を見たからです」

「ああ、あの映画か、トム・クルーズの」

「そうです」

「確かに今のフランス海軍のパイロットの中には『トップガン』の映画を見て受験した人も多いようだ」

「そのようですね」

「見たことある?ユーチューブの動画の『シャルルドゴール空母』この動画に空母のパイロットが一人紹介されているけれどこのパイロットもやはり『トップガン』の映画を見たことが理由だって」

「『トップガン』は世界中で大ヒットした映画だそうですからね」

「世界中での売り上げがすごかったそうだ」

「そのようですね」

「そのほかに空母の映画としたら『ファイナルカウントダウン』という映画みたことあるか」

「ありません」

「現在の空母が、第2次世界大戦の世界に行ってしまうというSF映画」

「それで」

「ジェット戦闘機とプロペラ機の日本のゼロ戦が戦んだよ」

「漫画みたいなストーリーですね」

「それがおもしろいんだよ。僕はそういう漫画みたいなストーリーが好きなんだ」

「良く言えばファンタジーですね」

「そうだな」

 ここで二人の会話が途切れてしまった。彼はウトウトし始めた。しかし急に彼はまた話し出した。

「電車の中って本当に寝る場所に最適だな。このガタンゴトンという音と車内の揺れ、これは人間の生理にうまく合っている。僕はよく眠れないときは電車の中で寝るようにしてるんだ。そうすると実によく眠れる。この電車の音と振動は、人工的に演出しているわけではもちろんない。自然と出てしまうものだ。それなのに人間の生理にぴったりと合った音と振動だ。だから僕から言わせてもらうと、寝台車という乗り物は人間が作った最高傑作の乗り物だと思うよ。君はどう思う」

「そうですね」

「あー、本当に眠くなってきた。僕は少し寝るから、ブレスト駅に着いたら起こしてくれ」

「はい」

彼はそういうとすぐに寝てしまった。   つづく

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