13話 パリ発ブレスト行き仏新幹線TGV
第15章
藤枝有紀子は、これから乗ろうとしたTGVのドアが閉まってしまったため、駅職員に駆け寄った。
「すいません、電車のドアが閉まってしまったのですが!」
「もうすぐ出発だからです。出発時間の2分前だからです。フランスの新幹線のTGVは2分前にドアが閉まるからです」
「何とかお願いします。これに乗らないと間に合わないので!」
「わかりました。ではこちらに来てください」
彼女は駅職員に連れられて乗務員専用のドアから車内に入れてもらうことができた。
彼女はホッとしてスーツケースを引きずり、自分の座席を探しながら車内を歩いて行った。ようやく自分の座席を見つけ彼女は座りスーツケースをかたずけていた。すると、そこへ金髪の白人男子がやってきた。
「君、もしかしたらこの前、軍情報採用センター(CIRFA)の面接に来てなかった?」
「はい、そうですけど……」
「やはりそうか。僕もいたんだよ」
「あー、私が面接をして部屋から出たとき、私の次の面接の順番待ちをしていた……」
「そうだよ。僕だよ。もしかしたら君もこれから試験受けに行くの?EOPAN・FRの」
「はい、そうですけど」
「僕もだよ」
「あなたもですか」
「うん。君の隣に座ってもいい?」
「指定席では?」
「誰かが来るまで」
「ではどうぞ」
「今自分のカバンもってくるから」
その金髪の白人男子は自分の席のある車両に戻っていった。しばらくするとカバンを持ってやってきた。彼は彼女の隣に座った。
「君の名前は、なんというの」
「藤枝有紀子です。あなたは」
「アランドロンだよ」
「ユキコの国はどこ」
「日本です。ドロンさんはフランスですか?」
「そう、生まれも育ちも」
「君は何歳?」
「17歳です」
「ドロンさんは?」
「18歳。君の希望は何?飛行機パイロット?ヘリコプターパイロット?」
「飛行機パイロットです。ドロンさんは?」
「ヘリコプターパイロットだよ。飛行機も、戦闘機、警戒機、輸送機があるけど、君の希望はどれ?」
「戦闘機です」
「女子が戦闘機希望か、めずらしいね」
「そうですか」 つづく
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